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Channel: 小西ひろゆき(小西洋之) 参議院議員(千葉県選挙区)
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日本国民とは何か ~終戦の日と前文・平和主義の誓い~

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本日は73年目の終戦の日です。

「戦没者の御霊に平安を」という安倍総理の追悼の言葉を聞きながら、果たして、先の戦争の犠牲者は安らかに眠ることができているのだろうか、と思わずにいられません。

戦争犠牲者のことを思うのであれば、その惨禍の基に定められた憲法の平和主義について真剣に考える必要があります。

日本国憲法は平和憲法と呼ばれますが、「憲法の平和主義」とは憲法9条のことではなく、「前文の三つの理念」とされています。

つまり、憲法9条は戦争放棄を定めていますが、「なぜ、恒久平和でなければならないのか。日本国民はどのような平和を求め、その実現を誓うのか」については、9条には書いておらず、9条の法的母体とされる以下の前文・平和主義に書かれているのです。

①日本国民は、・・・政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。

②日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。

③われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

■憲法の平和主義及び憲法前文の趣旨等に関する質問主意書
http://www.sangiin.go.jp/japanese/joho1/kousei/syuisyo/188/meisai/m188016.htm

平和主義①は、過去の戦争が、天皇主権の下、国会・内閣・軍部といった国家権力によって起こされたことから、二度と国家権力に戦争を起こさせない決意を述べ、国民主権を宣言して新しい憲法を定めるとしたものです。
つまり、日本国民の国民主権はただの国民主権ではないのです。
二度と、国会・内閣といった国家権力に戦争を起こさせないという恒久平和の決意に基づく国民主権なのです。
であるならば、国民主権の行使である憲法改正を行わずに「集団的自衛権行使という戦争」を可能にした安保法制はこの平和主義に反する違憲立法となるのです。

平和主義②は、国境を越えた平和を愛する「国民と国民」との信頼関係を構築し、戦争を防止・回避し平和を保っていく決意を述べています。
この「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して・・・」という規定を他力本願などと批判する政治家がいますが、憲法の核心について全く理解していないものです。
信頼する相手は「諸国民」であり「諸国家(つまり、外国政府)」ではありません。
以下の安倍総理のコメントも実際に「国家」と発言しているように、「諸国家」と勘違いしているものです。

■この憲法はいじましい「国語ができない」安倍総理
https://www.youtube.com/watch?v=YJiPRyYAPDg&feature=youtu.be

平和主義③は、地球上の誰一人として戦争で殺されてはならず、平和のうちに生きる「平和的生存権」を有することを確認したものです。
安保法制は、自衛隊員の平和的生存権を奪い、日本国民と外国民の平和的生存権を奪う違憲立法なのです。

以上、安保法制を認めることは、私たち日本国民が、「国会・内閣の判断で戦争を起こすことを許す国民となり、外国の市民の平和への思いに関知しない国民となり、日本のための戦争で人間が死んでもやむを得ないと考える国民になる」ことを意味します。

そのような国民になっていいのか、そのことを先の戦争の犠牲者の方々は許してくれるのか、そして、こうした国民になってしまうことが私たちの子供たちに対して許されるのか、本日の終戦記念日に考えたいと思います。

(参考)
・三つの平和主義があっても、外国軍が日本に侵略する際にそれを正当防衛(自然権)で跳ね返す個別的自衛権行使だけは論理的に合憲となるというのが歴代政府の解釈でした。

・憲法9条は、「前文の三つの平和主義が具体化した規定」、すなわち、ダイヤモンドのように結晶化した規定であるというのが歴代政府解釈であり、最高裁判決(砂川判決)の趣旨とされています。

・集団的自衛権行使の解釈変更は、昭和47年政府見解の中にあった「前文の平和主義の法理」を切り捨て(改ざんし)、強行されたものです。
 安倍内閣は、安保法制がなぜ前文平和主義と矛盾しないのかについて、(論理的な説明が不能であるため)徹底的に説明を拒否しています。

・前文の平和主義は小学校六年生の義務教育の教科書で習っているものです。私たちは、安保法制との矛盾について子供たちに説明ができるのでしょうか。

・安保法制によって前文の平和主義は空文化していますが、自衛隊明記の改憲によって完全に死文化することになります。すなわち、私たちは全く別の国民になることになります。

※より詳しい御説明は小西著書「私たちの平和憲法と解釈改憲のからくり」抜粋をご覧下さい。
 「第二章 からくりその2 憲法前文の平和主義の切り捨て」
 
http://konishi-hiroyuki.jp/wp-content/uploads/karakuri2-2.pdf

※小西の質問主意書一覧(前文・平和主義との関係を追及しています)
http://konishi-hiroyuki.jp/%e8%b3%aa%e5%95%8f%e4%b8%bb%e6%84%8f%e6%9b%b8/

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